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作者:クレイバンの人、通称クレイさん
投稿日時:2005/11/21(月) 02:53:19
備考:作者さんにもスレ的にも珍しく時代劇もの。
2007/4/21,もげぴさんによる挿絵追加。



そのくの一は確かにあたりを警戒していた。
しかし、家屋の陰に身を隠している、わずか一間ばかりの距離にいる男の気配を感じとることはできない。
男の隠行はそれほどまでに洗練されているということか。
女は全身を網目状の帷子を身につけているだけで、ほとんど裸に近い格好である。
忍ぶ者として、こんな夜に目立つ白い肌を露出させているのは愚かとしかいいようがない。
黒装束に身を包む男は飛びかかる機をうかがいながらそう思う。
確かにその姿に油断する者もいるだろう。ただ、彼女たちが対峙するであろう同じ忍は
まだ若いうちから女の色香に迷わぬように修行を行う。
男-魁丸も幼いときより、年頃の女を何人も抱いてきた。
自分の常識は他の忍び里では違うのであろうか。そう自問する魁丸。
しかし、どちらにしても彼にとって発見しやすい彼女たちの姿は好都合である。
背後から忍び寄ると、左手をくの一に顔にむかってのばす。
「ふぅっん」
冷たく厚い手が、張り手のような痛みをともないながら
突然口元をふさいだことに驚き、逃れようと身をくねらせ鼻息を漏らす。
もちろん、この機会を逃す魁丸ではない。
右手に構えた刀を背中から突き刺した。その刀は心臓と豊かな左乳房を貫き、
血に濡れた刃先が一尺ほど飛び出す。
「くぉぉぉ………!」」
くの一は声にならない悲鳴を漏らしながら、痛みと胸より突き出た刀に自らの『死』を感じとった。
グリッ…魁丸は冷静に刀を半回転させ決定的な致命の一撃とする。
それでも女は最期の執念とばかりもがいていたが、やがてその動きも弱まり、完全に動きをとめる。
それを確認してからやっと魁丸は刀を抜き、口元を覆っていた手を放した。
ゆっくりと崩れ落ちるくの一。あらためてみれば二十を少し過ぎたくらいの女が
美しい顔を歪め虚空を睨みつけるように目を見開き事切れていた。
「すまぬな。これも忍が定め・・・・」
魁丸はその言葉を残しその場を立ち去る。彼は一刻も早く密書を殿の下へ届けるという使命をおびていた。
彼の仕える坂野関之進の忠野城がある城下町に帰ってきた時、
くの一の集団がこの密書奪取を目的に襲いかかってきた。
おそらくこの密書を届けられることに一番恐怖を感じている者……表向きは伴之進の忠実なる
家臣である筆頭家老 姶良介行お抱えの忍であろう。魁丸はもちろん読む権利などなく、
ただ命令を遂行する立場であるので、その内容は推測でしかなかったが、
この密書には彼の謀反の動きが詳細に記されているに違いないと考えている。
近頃の不穏な姶良氏の動き、そして密書の出所もそれを指し示していた。
「くの一の集団」。そう十数名はいたであろう。忍とも思えぬふざけた格好、
そして女ではあったが、それでも訓練を受けた忍である。明らかに多勢に無勢。
勝てる見込みもなく散るのは武士だけでいい、逃げるも手の内と魁丸は煙幕球を用いて
かろうじてその場を逃げることができたが、城へと至る道はまだかなりあった。
彼にとってせめてもの救いは彼女たちが自分を追い密書を奪うため散らばったことであろう。
街のいたるところに彼女達は忍んでいるが、個別での戦いということなら魁丸に分がある。
ただもし、発見されて再び仲間を呼ばれればその時点で彼の敗北は決定的である。
煙幕球など緊急に避難する手だては魁丸にはもうなかった。
魁丸は長屋の陰をぬうように慎重に歩を進める。……一人いた。
みれば何か水飲の為の桶と桶との間に屈みこみなにやら変な仕種をしている……
どうやら用を足しているようだ……本来、任務中は我慢すべきもの。
しかし彼女は耐えられなかったのだろう……ただ、とあらためて魁丸は思う。
どこか変だと。忍として常識が欠けていると。もちろん、それはこの非情の世界では命取りになる。
ほとんど足音を出さずにそのくの一の下にまで疾走。
彼女が彼の存在に気付いたのは、二つの桶蓋に足をおき、月明りが魁丸の身体で遮られ、
陰ができた時だった。
「あっあっ…」冷徹な目を闇夜に光らせる男、手には刀、絶望的な状況である。
しかし、例えばこの状況であれば彼女のとりうる策は二つあった。
一つ、前転し桶の上に立つ魁丸の股をすり抜け逃れる。
おのれの出した小水に自ら飛び込むことになるが死ぬよりは遥かにまし。
一つ、桶蓋という極めて不安定な場所にいる魁丸の足元を崩す。
こちらは上手くいけば形勢逆転の可能性もある。
瞬殺ではなく数秒の猶予があったのだから彼女が一流の忍であれば十分に選びとれたはずである。
しかし彼女のとった行動はいやいやと首をふり「許して」と、か細い声で懇願するという、もっとも愚かなものであった。
「御免!」
そう低く呟くと、両手で持った刀をくの一の脳天を突き刺した。
「アグボェッ……!」
小さく断末魔の叫びをあげ、女は下に溜まった小水に前のめりに倒れこむ。
頭から流れ出る血と脳漿がそれに混じる。
突き上げられた柔らかく形のよいお尻はまるで男を誘っているかのように淫靡であった。
魁丸は再び闇に隠れる。その心には少し虚しさが残った。死を常に覚悟した者同士の戦い。
だからこそ相手を殺すことを一切の躊躇なしにできる。しかし、これでは……
最初に襲われた時には確か十数人もの姿があった。まだ十人以上はいる計算になる…
できればもう殺さずに城まで戻りたい……
普段の彼を知るものならば想像もできないほど魁丸は気付かぬうちに
精神的な迷いが生じていた。その迷いは彼を後に窮地に追い詰めることになる。
殺したくない。魁丸のその思いはすぐに裏切られることになる。
「……アッ!」「………ダメェ!!」
女の喘ぐ声がする。気配を消し、その声のする家と家の間の小さな隙間を覗く。
そこには二人のくの一が帷子を脱ぎ素肌をすべて露わにして……重なりあっていた………
「お姉さま!お役目の最中です。」
「そんなこといわないの。こんな時でもなきゃ二人になれないでしょ。
 皆が上手くやってくれるわ。それよりはやくしましょ」
「………そんな」
「もうっ!大丈夫よ。ウフフ、こんなの持ってきちゃった。」
そういうと暗くてよくわからないが反り返った棒のようなものを
お姉さまと呼ばれたくの一が取り出す。
「それは…」
「これはね。こうやって…フゥン、ハァッハァッンンンッ!」
二十も後半だろうか。熟れた身体をプルプルとひくつかせ声を漏らしながら
使いこまれているだろう女陰に片方を挿した。
「そして交わるの。殿方のアレの紛い物ってわけね。」
「これを……」先ほどまで『お姉さま』の行動を咎めていたくの一。
まだ幼さの残る、下手すれば二十もまだ越えていない幼い顔つきの女はその棒をみて興奮したのか、
小ぶりの胸をたわわに実った『お姉さま』の豊満な胸にすり寄せたかとおもうと
「優しく……してください」と耳元で囁いた。
『お姉さま』は薄く笑うと、「可愛い子ねぇ」と少女に軽く口づけをした。
魁丸にはそんな彼女たちの囁きあう場違いな言葉は聞こえなかったが、
何をしているかは一目瞭然である。もう呆れるしかなかった。
このくの一集団はどうやら忍のイロハも知らない素人の集まりなのか。
さっきの用足しにしろ、これにしろ……『殺してください』といっているようなものである。
しかし、それが逆に彼から殺意を奪ったことも確かであった。
さっさと無視して先を急ぐことが賢明だと魁丸は判断する。
「アァンッウヒィィィ!」どうやら『お姉さま』はもう一人の幼いくの一と結合したようだ。
もう、言葉もみつからない。魁丸は気取られぬように足を進める。
「ウゥーーーーーワンワンッ!!」
犬!!!!!
彼女達の乱れた姿に気をとられ、彼は野良犬の接近に気付かなかったのである。
(不覚!!)
魁丸は電光石火の勢いで、犬を斬り捨てる。そして女達に目をやる……
当たり前、例え忍でなくとも気付いたであろう状況では
いくら愚かなくの一といえど気付かぬはずはなく、あわてて闘いへの準備をしようとしている。
しかし呆れた、いや滑稽なことに陰部はつながったままであった……
『お姉さま』と呼ばれた方は、慌てながらも発煙筒で彼の存在を知らせようとしている。
運がなかったのは果たしてどちらの方か。いやどちらもか。
魁丸は全速力で距離をつめんと走る。
「はやく、はやくこのお亀様をとれ」
「そんなそんな何で何でとれないのぉ!!」
どうやら膣が恐怖によってか焦りのためか『お亀様』を咥えてはなさない。
魁丸にとってはこれは絶好の機会である。
「「ひぃぃぃぃぃっ!!」」
彼女たちの恐怖の声が重なる。
そして、ただ一閃。
二人の首の頚動脈と声帯を斬る。
血しぶきが飛び散るが……もちろん彼女達は声を出せない・・・・・
ただ二人は見つめあい、抱き合うように崩れ落ちる。

魁丸

(イラスト:もげぴさん)


まさに『無駄な殺生』。魁丸の心はまた軋む。
自分が警戒を怠らねば敵とはいえ、命まで奪うことはなかったという後悔。
そして最期の悲鳴。これは他のくの一達に聞かれたものと考えられる。
(まずいな……)そう心の中で魁丸は呟いた………

                                            
                                            つづく


















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