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作者:クレイバンの人、通称クレイさん
投稿日時:2005/11/23(水) 15:59:49
備考:作者さんにもスレ的にも珍しく時代劇もの。



(……誰も来ない……か? しかし………)
魁丸が二人のくの一を殺して数分……いまだ他のくの一が迫り来る気配がない。
『杞憂』の二字が魁丸の頭にのぼる。
実はあの悲鳴は誰にも聞こえていなかったのではないかと…
『楽観視』……『油断』につながる観方は決して忍のとるべき思考ではない。
しかし、四人のくの一をあっさりと屠ることのできたことが
魁丸の鉄の心に少し風穴をあけ、その『油断』を入り込ませていた。
(いや、あり得ないことではないか……どうみても忍としては二流、いや三流なのだ)

そう結論づけると、魁丸は待ち構えるために隠れていた場所から這い出し、
平屋の屋根にのぼる。今度は屋根づたいに城を目指すつもりであった。
少し歩を進めると屋根の下にあたりを警戒しているくの一がいた。
街に数本ある幅のひろい本道であり、
彼女を殺さなければむかいの屋根には移ることはできない………
そのくの一には先ほどまでのくの一とは異なる特徴的な部分が二つあった。
一つは赤い布で口元を隠していること。
そしてもう一つは大きな……という言葉では表現できないほど豊かな胸である。
今までの四人とは比べものにならない大きさ。乳房が帷子に収まりきらず、
上と横に肉がはみでていた。任務に支障をきたすのではないだろうかと思える
大きさだが常日頃の訓練の賜物か垂れてはおらず、はっきりとそのお椀型の乳房を前に突き出している。
帷子ごしにみえる乳首は桜色で乳輪とともに乳房とのつりあいがとれた適度な大きさ。
普通の男がもし、これを間近でみたならば獣と化し、
むしゃぶりつくことを抑えられないだろう。
それほどまでの淫惑の魅力を女の胸は持っていた。
しかも胸だけが突出しているもののそれだけではない。
彼女の肢体すべてが男を骨抜きにする色香、いや妖香を漂わせていた。
しかし、幸いなことに(いや不幸なことか)月明かりだけがたよりの暗い夜道……
魁丸にはその魔性の身体を堪能することはできない。
ただ、口元を隠していること、そして帷子で抑えられないほど胸が大きいことだけはわかる。
いつもの冷静な彼ならそれだけのことでそれ以上もそれ以下もない。
すぐさまに隙をみて飛び込み、彼女の類稀なる性的な淫力に一顧だにすることなく
あの世への引導を渡していただろう。

だが、彼は『動揺』していた。いや『興奮』しはじめていた。
主たる原因はやはり闘いとはいえ、無抵抗の女を殺したこと。
そして生理的、性的な姿態をまざまざとみせつけられたことにある。
もう一つ隠された、彼の身体だけが覚えている『記憶』によって
その『興奮』はひきおこされているのだが魁丸にはもちろんその自覚はない。
むくむくと褌の中の一物が勃起していく。
(私は何を考えているのだ。煩悩は敵。
 これでは色に溺れた先程のくの一となんら変わらぬ。 南無阿弥陀仏……南無阿弥陀仏……)
ひたすら気持ちを落ちつけようと題目を唱える。

そこに隙があった。
バサァッ!!
座り様子をうかがっていた屋根を覆うように広げられ魁丸に迫りくる捕獲用の網。
(しまっ…)
しかし、超人的な反応速度で前方に転がりそれを避ける。つまりは軒下への落下。
もちろん、そこに待つは月明かりに美しき姿態を浮かび上がらせる魔乳のくの一。
いや、それだけでなく刀を光らせ左右より走り迫るくの一、二人!!
受身をとってそのままに、懐より苦無を二本とりだし、左右のくの一に投擲。
「クォォッ!」
「イギャッ!」
見事、彼女たちの眉間に突き刺さり、勢いそのままにもんどりうって倒れる………
そこまでだった……
首筋に交差して行き場を失わせたままにあてられる二本の短刀。
両の手にそれを握りこむのは口元を隠した女。
魁丸は視線を胸に持っていくまでもなく、
彼女が自分を『興奮』させたこの状況に追い込む直接の原因ともなったくの一だとわかった。
「やれやれ、手間かけさせてくれちゃって……」
その声は低く、美声とはいえない。しかし声の発し方というのだろうか。
そこには経験をつんだ大人の女だけが持つ色気が多分に含まれていた。
顔で唯一露出している眼は切れ長、少し吊りあがり気味で鋭い視線を魁丸に投げかけてくる。
死線をくぐりぬけたものが持つ眼。
鼻と口は隠れているが、多分それをとれば冷たく妖しい魅力を放つ美人の顔が拝めるはずだ。
短刀を押しあてられ首も動かせず視線を外せないという理由もあったが、
魁丸は絶体絶命の状況にもかかわらずその女の『戦闘力』ではなく『魅力』の分析をはじめていた。
そして、どこのくの一ともしれない女に何故か、何故か既視感をおぼえていた……
ストッ、ストッ、ストッ、ほとんど着地の音もたたせずにくの一達が屋根から降りて来る。
また物陰よりも数人、魁丸を囲むように集まってきた。
その数総勢七人。魔乳のくの一をあわせて八人。
ここに魁丸を襲ってきたくの一がすべて集合していた。
(なんたる失態か。くの一達の仕掛けた罠にはまってしまうとは)
刀をあてられたまま既に座りこまされ、鼠の這い出る隙間のないほど取り囲まれた今の状況。
魁丸は自分の油断がまねいた深刻な事態をあらためて認識していた。
裸体、いや裸体よりもむしろ卑猥といえるかもしれない帷子だけに身を包んだ女達に
囲まれるというのは人によっては夢のようであるかもしれない。
しかし魁丸にとってはこの状況ではただの悪夢でしかなかった。
「六人も殺られるなんてのは少々意外だったね。ま、その半分くらいは見積もっていたけど」
六人も仲間を殺されているのに何故か楽しそうに云いながら、
魁丸に魔乳のくの一に負けず劣らずの大きく柔らかそうな乳を揺らしながら近寄るくの一がいた。
その女は魁丸の命をその手に握るくの一とは対照的に青色の布で口元を隠している。
他に顔を隠している者はいない。二人には何か特別な理由があるのか。
魁丸は再び己の心に問いかける。それは近寄ってくる女にも既視感があったからである。
しかし、その思考はすぐに途切れた。
「仲間が殺られたんだ。そういうことは云うもんじゃないよ」
本当にそう思っているのかは怪しいような、
けれどここはこう云っておかねば他の者に示しがつかないから仕方なしにとでもいうような
口調で決して魁丸から目線を離さぬままに赤い布で口元を隠した女が云う。

赤色の布で顔を隠す女を朱奈、
青色の布で顔を隠す女を藍奈といった。
彼女達は姉妹であり、そしてこのくの一集団「解戒座(げかいざ)」の頭領と副頭領であった。
「ごめん、ごめん。姉様は厳しいんだから。さてとまずは顔を拝ませてもらおうかな。」
そういうと、目元しか露出していなかった魁丸の黒色の頭巾がほどかれる。
汗でぬれ湿った短く切った黒髪、濃く意志の強そうな眉、
そして何より左頬の獣かもしくは鉤爪にでもやられたのか三筋の傷痕が印象的な
まだ二十歳くらいの年若い男であった。
全体的な容貌としては惚れる女も数多いであろうなかなかの美青年である。
その顔があらわになった時、ビクゥッと朱奈と藍奈に動揺が走った。
そして、二人は顔をみあわせる。
「なんだ、私の顔に何かあるのか」
その動揺を見逃さず、魁丸は二人に問いかけた。
「い、いや何。むさくるしい顔かと思ったら結構若くていい男だったんで驚いたのさ」
朱奈はそう云ったが何かを知っていて繕っていることは間違いなかった。
(やはりどこかで会ったことがあるのか……)しかし、思い出せない。
「まぁそんなことはどうでもいいんだよ。さて、預かっている文があるだろ。
 渡してもらおうか。」
「何のことやら」と、とぼける魁丸。
「ふざけんじゃない」
質問していた朱奈ではなく、藍奈の拳骨が脳天に打ち下ろされる。
その揺れで首筋にあてられた短刀で薄皮が裂け血がこぼれおちる。
どちらも痛みとしては大したものではない。まだまだこの程度では拷問とも呼べない。
「ま、わざわざ手渡してくれなくてもひん剥いちゃえばいいんだけどね。ボサッとみてないであんた達も手伝って」
そう藍奈がいうと、四人はいざという事態に備えるため、
四方にそれぞれの武器を持ちながら戦闘態勢を維持し、
残りの二人が魁丸の装束を脱がし始めた。
朱奈・藍奈はそれを間近でみている。朱奈はそのまま両手に短刀を藍奈は空手ではあったが、
彼女たち二人には全くといっていいほど隙がなかった。
何か少しでも妙な動きをすればたちまちに首が飛ぶことは明白である。
やはりかなりの手練れ。くの一達へ命令しているところをみるに、
どうやらこの二人が彼女達を率いているのだろうと魁丸は判断する。
大勢の女達の環視の中で脱がされるというのはかなりの屈辱ではあったが、
その結果が少しでも彼女たちの鼻を明かすことができるかと思うと少しは気が楽になった。
装束、その内にあった暗器の数々はすべて剥ぎ取られ脇におかれ、ついには褌一枚となる。
鍛え上げられた身体があらわになる。あらゆるところにしなやかな鋼の筋肉がつき、
常日頃から鍛錬をかかさずおこなってきた証が全身より漂っている。
その肉体美にくの一達はみとれながら………
しかし、いくら脱がしても……見事な裸身だけで密書はどこにもないことに苛立ちを感じていた。
「どこだい……」
低い怒りを内に秘めた声で朱奈は問う。
「だから何のことやら」とぼける魁丸。
「あんた、こんな臭いところに隠してるんじゃないよ……ね!」
藍奈はまだとぼけつづける魁丸の股間を思い切り蹴っていた。
「グホォォォォッ!!」
両腕を二人のくの一に押さえられていたため、大きく身をくねらせることはできなかったが
あまりの悶絶にひたすら目を白黒させ、呻き声を出す。
「さて、こいつの大事なところを拝ませてもらおうじゃないか」
藍奈が顎で合図をすると腕を押さえていたくの一の一人が褌をほどいていく。
そこにも、肝心の密書はなかった。あらわれたのは魁丸の一物のみ……
先ほどまでの勃起はおさまっていたが、しなだれたそれは成人男子でもかなり大きさを誇っていた。
ゴクッ、脱がす役目を負っていたため、
一番の至近距離で見ることになったくの一は息を飲み、股間がうずくのを感じた。
「最初からなかった……とは考えられないんだよね。
 まして紙だし飲み込んだというのも疑問が残る。いや何かに包んで飲んだとしても、
 結局捕まって、腹かっさばかれたら同じだしね。結論は一つだ。あんたこの街に入ってからどこかに隠したね」
朱奈は冷静に判断する。それが正解であった。
魁丸は交わっていたくの一二人に己の油断から悲鳴をあげられたあと、
こういった状況になることを予測して、殺したあとすぐにある場所に隠したのだった。
「面倒くさいことをしてくれたもんだねぇ。けど本当に立派になったもんだ。」
後半の言葉はかなり不可解ではあったが、
魁丸はやっと鈍い股間の痛みから解放されつつあってそれどころではなかったので聞き逃した。
「うふふ、けどこれで楽しめるじゃない姉様。死んだら誰にもわからないから
 自ら死を選ぶこともないだろうし、いくらでも責め続けられるんだから」
赤い艶かしい舌がチロッと口から飛び出し、舌なめずりをする藍奈。
そこにはむしろ簡単にみつかるよりよかったという喜びがにじみでているように感じられた。
「そうだねぇ……しかしこんな外でってなるといくら夜中でも安心してできないね。」
「いつものようにすればいいじゃない。」と藍奈
「うふふ。じゃあさっそく取り掛からないとね。」
なにやら嬉しそうにそういうと周囲を見渡し、
それじゃああそこにしよう、と五間ほど離れた家屋を指さした。
『いつものように』とはいったいどうするのか。何やら胸騒ぎを覚える魁丸。
腕と足を荒縄で縛り上げられ、くの一達に四方を囲まれながら指さした家にひきずられていく。
その家は……空き家ではないだろう?そんな疑問が思い浮かんだ時、
彼女たちが何をしようとしているのかわかった。
藍奈は引き戸を開けようととして、
何かつっかえ棒のようなものでそれが閉じられていることを確認したあと、
ここかな、と正確に刀を戸に突き入れてその棒を両断する。
カランと音をたてつっかえ棒が地面に落ちるとほぼ同時に引き戸をあけ、
朱奈と藍奈がずかずかと足を踏み入れた。
そこに三人の親子が粗末な筵をひき、麻布の布団を上からかけて寝ていた。
もちろん、突然の闖入者に三十過ぎの無精ひげの男は飛び起きる。
そして「あ、あんた達はなんだ」とビクつきながら問いかけた。
その先には二人の口元を隠し、
帷子では抑えることのできぬ美しく妖しい魅惑の魔乳を持つ女が二人立っていた。
「あなた達を極楽につれていってあげるためにきたのよ」
「な、何を」そういう男の視線は二人の胸に釘付けになっている。
妻がいるとはいえ、そしてたとえこのような状況であろうとも彼を男なら責めることはできない。
それほどの魔性の魅力を彼女たちの乳は持っていた。
「さあきて」そういうと朱奈は腕をひろげて男を呼びこもうとする。
「あ、あ、ああっ」抗えずにフラフラと彼女の胸へと飛び込んでいく男。
朱奈の胸の谷間に男の顔はすっぽりと埋もれた。
帷子ごしにも伝わってくる柔らかさ、ぬくもり。
両乳房に挟まれた男の股間は熱く反り返るように勃起していた。
「気持ちいい?」優しく問いかける朱奈。
「ああ、ああ」ただただむさぼるように胸に顔を埋める男。
「それじゃあこのまま極楽に逝かせてあげるよ」
朱奈は左手で男の頭を固定して、
そして腰に吊り下げている短刀を右手で引き抜き……………
男の首を一瞬の早業で…………切り落とした。
血飛沫があたりを一面の朱に染める。
切り落とした張本人である朱奈はその血を全身に浴び恍惚の表情を浮かべていた。
これは何の夢だろうと上半身だけを起こして、
ただ魅入っていた妻はやっと自分の愛する夫がどこのものともしれぬ女に殺されたことを認識し、
「あ、あんたぁ!」と布団から這い出して男の身体にかけよらんとする。
藍奈は勢い込んだ妻の足元に自分の足をちょいとひっかけた。
すてんと転ぶ女。その背中に馬乗りになる藍奈。
「男だったらあんたにも極楽みせてあげるんだけど」
そう、独り言のようにつぶやく。亭主を失った女は恐慌状態で泣き叫んでいる。
女の目の前に朱奈は十分に堪能したのか、ゴトッと抱え込んでいた男の首をおいた。
「あんたぁっ!!」女は両手をのばしすがりつくように首を抱きしめる。
「あの世でもなかよくしなよ」
そういうと藍奈はさっきから手に持っていた刀で女の首を薙いだ。
再び辺り一面に血飛沫が飛ぶ。
藍奈も興奮したのか左手でおのれの乳房を軽く揉み忘我の表情をつくる。
残ったのは年端もいかぬ少女だった。まだ七つか八つくらいだろう。
母の叫びを聞き、起きてそして目にしたのは二人の見知らぬ女と
転がる父母の首と血を噴き出し続ける身体。そんなまさに地獄さながらの光景だった。
「おっ、おっ」おっ父、おっ母とでも云おうとしているのだろうが声が出せない。
ただ、呆然としている。そんな少女に朱奈と藍奈は卑しげな笑みを浮かべながら近づく。
「可愛いね。名前はなんていうの?」
「あんたの大切なおっ父と、おっ母はね、あんたをおいて先にあの世にいっちまったんだよ」
逝かせたのは自分たちだということを棚にあげ、狂気をはらんだ女二人が交互に少女に語りかける。
「あ、ああ」少女はあまりの恐怖に何も言葉にすることができない。
「もうやめろ………」そう声を出したのは戸口から
この非道な行いを見させられていた魁丸だった。
罪なき人々を殺めるとは……許せなかった。怒りで顔が真っ赤になっているのがわかる。
いや、確かに殿の命令とあらばたとえ女子供であろうと自分も手にかけるだろう。
拷問するために家屋を利用することも策としては悪くなく、
邪魔な家族を殺すことも仕方ないともいえよう。
しかし、しかし、彼の忍ではなく一人の人間としての心が彼女たちの行いを許せなかった。
彼女たちは『殺し』を愉しんでいる。それが何よりも許せなかった。
そんな魁丸を魔性の姉妹は睨みつける。
「フン、じゃあ何かい。この子の命を助けたら密書の在り処を教えてくれるっていうのかい?」
朱奈はまるで嘲るかのように魁丸にそう問う。
その言葉で血がのぼった頭が急激に冷めていくのを感じた。
そう、いくら義憤に駆られようと己は忍。お役目も為なら鬼にならねばならぬが定め。
「そ、それは……」
口ごもる魁丸に、ほらみろという視線を投げかける。
「あんた本当に馬鹿だね。まぁ、そういうの嫌いじゃないけど」と藍奈。
「まあ、ここで素直に吐かれちゃ興醒めもいいとこだしね。
 そんなにみたくなけりゃ目でもつぶってな。」朱奈は吐き捨てるように云う。
「ってことでお嬢ちゃん。こわいお兄さんもいることだし、楽に逝かせてあげるよ」
そう呟く朱奈。いつのまにか背後にまわっていた藍奈が包み込むように少女を抱きしめ、
そしてその腕がつつと身体をのぼり首にかかった瞬間、強い力でひねった。
あり得ない方向に首が曲がり、少女は結局一言も発することのないまま事切れる。
少女の眼から一筋の涙がこぼれおちた……
「くそおっ」
何もできなかった自分が情けなく、咆える魁丸。
そんな魁丸の葛藤をよそに一仕事を終えた朱奈は間髪おかずにくの一達に次の命を発した。
「これから色々な『声』や『音』が飛び交うからね、両隣も同じように。
 いつものようにできるだけ静かに殺るんだよ。
 ひょっとしたら今ので起きてるかもしれないから気をつけな。
 なんせ不審に思われて役人に報されたら厄介だからね……」
「それからそれが終わったら、密書の探索だ。こいつが隠してそうなところを徹底的に探しな。
 あと、お霧、樹祢!さっき男をひん剥いて十分楽しんだだろ。
 あんた達は死んだ仲間の死体をどこかに捨ててきな。一切の証拠を残すんじゃないよ。
 その男はそこらへんに転がしておけ。後の面倒はわたしたちがみる。
 さあ、夜明けまでが勝負だ。さっさと行きな。」
魁丸は朱奈が勢いよく発した命令通りに血で染まった床に乱暴に投げ出される。
朱奈・藍奈以外のくの一達は二手にわかれ両隣の家へと駆け込んでいく音が聞こえる。
今のような惨劇が繰り返されるのだろう……魁丸はくやしくてたまらなかった。
何故、心が揺れてしまったのか。あの時に心を鬼にして躊躇いなく、
くの一たちを屠っていればこんなことにはならなかったのにと何度も後悔していた。
「さて、と。姉様……」
「そうだね。本当に、本当に久しぶりだよ。心ゆくまで愉しもうねぇ。」
何が久しぶりなのか。
いつだって機会があれば拷問していそうな二人の会話としては違和感がある。
彼女たちへの既視感と彼女たちの不可解な会話はつながっているように魁丸は思った。
その謎が解け、魔性の姉妹の正体が明らかになるのはこのすぐ後のことである。
                     
                                                    つづく


















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